常に「一年先」を見て動く

パチンコ主義とは、いわゆる「日銭志向」のことを言う。遊びならまだしも、仕事が日銭志向では話にならない。今日一日の黒字、赤字ばかりを気にして、黒字になるなら明日につながらない仕事も引き受け、自分だけがお金を手にして、部下や同僚の信用をなくすのである。

仕事は、一年、二年先を見て計画的に行わなければいけない。そのためには、一カ月や二カ月赤字でも我慢しなければいけないのだ。だが、それができる男は少ない。とにかく一日にいくら儲かるか、それしか頭にない。パチンコのように、今日は黒字、明日は赤字、また黒字、また赤字を繰り返し、一カ月かかって結局たったの数万円しか黒字になっていないというパターンだ。

会社を大きくするには金がいる。人を育てるにも金がいる。しかし、日銭志向の人間は、その金を惜しむ。だから、会社はいつまで経っても大きくならず、人はついてこない。

昔、こんな話を聞いた。ある小さな会社の営業マンが、取引先からゴルフに誘われた。ところが車がなく、ゴルフ場へ行けない。そこで社長に、「車を貸してください」と申し出た。

社長はちょっと考える素振りを見せた後、仰天するようなことを言った。

「高速代とガソリン代がもったいないから、行かなくていい」

取引相手が重要じゃないと思ったのか知らないが、経費をケチっていて仕事が発展するはずがない。この社長は、日銭の計算しかしていないのだ。そもそも、この接待の目的は、営業マンにとっては、一年後の大口取引を見越してのものだった。しかし、この社長には一年後が見えないのである。この営業マンもそんな会社にいては伸びることはない。

こんなバカげた話が実際にあるのだ。私の周囲には似たようなケチ社長の話はゴロゴロ転がっている。

男が意地でも続けなくてはならないこと

今日赤字でも一年後に利益が出るなら、それを続けないといけない。継続は力なり、と言うではないか。

しかし、こんなよくある説法は、聞く耳を持たない人が大半だから、具体例を挙げよう。

私は、競馬の同志を集めた「里中李生オフィシャルファンクラブ」を主宰している。今では月五十万円くらいの収入になっている。しかし、発足当時は月たったの一万円の収入しかなく、経費を計算するまでもなく大赤字だった。それは一年くらい続いた。

当時はダイヤル全盛の時代だったが、資金もなく、FAXで競馬のエッセイを一人ひとりに流していた。広告も打てないから、言い人川合す。原則になる、馬券を買う人がいなくなり、一時は、一人だけの会員に向けて、エッセイを書き、FAXを流していた。それだけのために土曜日、日曜日を費やした。普通なら、嫌になってやめるはずだ。

だが、私はやめなかった。赤字でも土日を返上して、FAXを送り続けた。そうしているうちに、会員が増えていき、またそんな苦心を知ってくれている会員は脱会せずにずっと残ってくれた。

出入りが激しく、会員との交流がないダイヤルの競馬予想はあっという間に消え、私の「競馬クラブ」はどんどん会員が増えていった。予想会社ではなく、「クラブ」にするために、親睦会を開き、ゴルフコンペをしたりしている。

私はそういうクラブにするために、お金と時間を犠牲にして、何年もやってきたのだ。日銭を気にしていたら、最初の半年で終わっていたが、私には計画性と我慢する精神力があった。だから私は、日銭志向の男を見ると、異常にイライラする。計画も立てず、我慢もせず、「お金が欲しい」「金持ちになりたい」とぼやく。

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